若手社員の「やってみたい!」をカタチに。中海テレビ放送「ミライノネプロジェクト」
ギョーカイ話 ☆ケーブルテレビ☆の編集局 レイチェルです。
就活生の皆さんも、来年入社される皆さんも、入社した後「自分は社会人としてちゃんとやっていけるのだろか?」等、さまざまな不安、ありませんか?
今回はそんな不安を抱えながらも、社会人として一歩を踏み出した1年目・2年目の社員が中心に進めている、「ミライノネプロジェクト」を紹介します。
この取り組みをしているのは、鳥取県米子市にある中海テレビ放送さんです。企業理念のもと、「使命・感謝・挑戦」という3つのキーワードを掲げ、ケーブルテレビの他、インターネット・電話・電力・カルチャーセンター・地域シンクタンクなどの事業を通じて地産地消を実現してきました。2024年に開局35周年をむかえた地域密着型の事業者さんです。
知りたい!そもそも「ミライノネプロジェクト」とは?
中海テレビ放送さんでは、若手社員の離職が続いた時代がありました。特に、県外出身の社員や若手同士の交流が少ないことが課題となっていました。そこで、採用担当者が若手社員同士の横のつながりを作ろうと2019年に立ち上げたのがこのプロジェクトです。
「ミライノネ」の由来は・・・
今いる人材とその次の人材が会社や地域に根付くようにという思いが込められており、社員の方が「会社・地域に根付く」ための環境づくりと、人材育成を強化し「未来の根」となることを意識したプロジェクトを目指しています。
プロジェクトメンバーは・・・
新卒1年目、2年目の社員で構成され、任期は2年間。
1年目社員はプロジェクト活動の補助やサポートを担当、2年目社員はプロジェクト会議の運営や実施時のリーダー役を担当しています。
活動は、年度初めの最初の会議だけは人事が日程を調整しますが、それ以降はメンバー自身で会議の日程を決めます。プロジェクト会議は月1回、アイスブレイク(Good & New)から始まり、その時々のテーマを議論します。各メンバーが自分のアイデアをベースに企画を考案し、実施していきます。
主な活動内容は・・・
採用SNS「X(旧Twitter)、Instagram、TikTok」の立ち上げと運用。
社員の仕事紹介動画の企画・制作・出演・編集。
社長や地域クラブチーム(ガイナーレ鳥取)とのクロストークイベントの企画・実施。
新卒採用イベントやインターンの対応、内定者懇親会も担当。
1年目の特権でもある、いろいろな部署の行事(イベント)に参加できる強みを活かし、イベントの動画をYouTubeにアップしたり、また、先輩社員、特に管理職へのインタビューを企画したり、さらに視覚では伝わらない楽しい雰囲気を聴覚で伝えることができるPodcastの活用と、さまざまなアイデアが生まれています。就活生の皆さんへ「1年目からさまざまな体験ができることを伝えたい」「今後のキャリア形成をイメージしてもらいたい」といったメンバーの思いが、新しい発想につながっています。
垣間見えた!フラットで温かい企業文化
偶然にも取材にうかがった日に、主な活動内容で紹介した「社長とのクロストーク」が開催されていました。このイベントは2020年から始まり、年に1度行われ、ミライノネプロジェクトのメンバーが企画、台本作成、打ち合わせ、全て行っています。新卒採用時期に合わせ、トークの模様を自社採用サイトに公開し、就活生の情報収集にも活用されています。
他の企業では、社長と直接話す場が少ない中、参加メンバーからは「私たちと目線を合わせて接してくれる」「距離の近さが感じられる」といった声もあり、フラットで温かい企業文化が垣間見えました。
また、加藤社長も「この場での発言は自分への戒めとなり、有言実行につながる」「素晴らしい仲間を迎えられて感謝している」と仰っており、今年度の全社重点取り組みの1つ「企業は人なり」を現しているようでした。
教えて!このプロジェクトの良いところ
「ミライノネプロジェクト」の現メンバー、卒業メンバーに、プロジェクトに参加してみて良かったこと・業務で役立ったことを聞いてみました。
山本さん:新卒1年目として、いろんなことを吸収しようという姿勢で臨んでいましたが、実際には、自分で考え、行動し、受け身ではなく積極的に進めていく姿勢が重要だと感じました。この経験は、今後の成長にもつながっていくと思います。
相野さん:若手は管理職についていくことが多く、受動的な部分があると思いますが、1年目だけで活動するため、みんながこのチームを引っ張っていこうという気持ちを持つことが重要だと感じています。この活動は自分にとって今後の糧になると感じています。勤続年数を重ねた時に「役立ったな」と思えるように、今は一生懸命頑張りたいと考えています。
嵯峨根さん:練習の場として、例えばリモート会議の設定など、基本的なことも身につけることができました。またこのプロジェクトで発言することに慣れると、部署の会議、本部の会議などで自分の考えや思っていることを発言できるようになりました。
曽田さん:現在、カルチャースクールを運営する部署におり、業務の1つでもあるSNS運用を担当しています。そこでは、このプロジェクトでのSNSアカウントの立ち上げや、運用を経験したことが非常に役立っています。
清山さん:部署横断のプロジェクトなので、様々な部署の人や入れ替わったメンバーと協力し、日程を調整しながら1つの成果物を作ることが求められました。また、このプロジェクトで発生した案件を自分の部署へ持ち帰り、上長への報告、スケジュール交渉が必要でした。このような「報告・連絡・相談(ほうれんそう)」をしっかりと行うことを学びました。 社会人としての仕事上におけるコミュニケーションスキル全般を培うことができました。
また、あらかじめ任期が2年間と決まっているので、活動を進める中、自分の行動を整理し、文書化し、形に残して後輩に伝えていくことの重要性を学びました。
今後が気になる!ミライノネの未来は?
プロジェクトの今後の展望について人事担当の倉内さん、石倉さんへ聞いてみました。
石倉さん:メンバーの皆さんが「横の繋がりができてよかった」「やりたいことをやれて楽しかった」と仰ってくださっていますので、これからもメンバーがのびのびと活動できる場でありたいです。人事がこうしていきたいではなく、みんなのプロジェクトとして、みんなで作り上げていって欲しいです。
倉内さん:やはりみんなが考えてやってもらいたいなと思います。 とにかく、トップダウンでやらされたではなく、自分たちで考えてやりたいことをやっていく、そうすれば気持ちよく仕事もできて、自分のスキルも上がっていくと思います。その結果、仕事も面白くなっていく、そのようなボトムアップを今強く意識しています。ミライノネメンバーの皆さんが、プロジェクト活動の中で、横で繋がって、縦で繋がって、さらに組織として良い方向に行っていただけるといいなと思っています。
伝えたい!ミライノネ新旧メンバーから就活生の皆さんへ
「ミライノネプロジェクト」の現メンバー、卒業メンバーから、ケーブルテレビ業界を目指している学生の皆さん、ケーブルテレビ業界をまだ知らない学生の皆さんへメッセージをいただきました。
山本さん:県外に出ていった友達に、将来、山陰という地域へ帰ってきて欲しいという目標があります。この会社でならば、その目標を達成する活動ができそうだと思い入社しました。例えば友達に、自分が山陰という地で楽しく働いている姿を見せることで、「帰ってきても楽しく過ごせるのではないか」と思ってもらえるかもしれません。また地域情報をケーブルテレビで発信することは、視聴者に小さい頃から地域の良さを知ってもらうことにつながります。地域の魅力を伝える事で目標が実現できるのではないかと考えています。
ケーフルテレビには様々な事業があるので、いろいろなことに挑戦することができ、やれる範囲は広い業界だと思います。
相野さん:民放さんは誰でも見ることができるが、ケーブルテレビは契約をしてくださった方にサービスを提供しているので、いい報道をしたり、いい番組を作れば、その分加入者の方も増えてくれますし、「これ見たよ」と言ってもらえたり、数値的にも自分たちの頑張りが可視化できますし、それによって地域の活性化にもつながる業界です。自分の頑張りを目で見たい、感じたい人には向いているのではないかと思います。
嵯峨根さん:今の会社に入社したのも、テレビという名前に惹かれ、ケーブルとはなんぞやとあまり理解していない状態で入社したのですが、自由度が高く、やりたいことがまだ明確に決まっていない人でも、入社してからやりたいことを見つけていくことができます。県外から来た私にも温かい言葉をかけてくれる人たちの下で働けるので、すごく働きやすいと感じています。
曽田さん:ケーブルテレビは地域密着型。私は 就活生時代、地域貢献を1番の軸に置いていました。実際に働いてみて、地域貢献ができていると実感すること が多く、ケーブルテレビを選んでよかったと思っています。また、地域の方々と距離が近く、「ありがとう」と言っていただける機会が 多いので、やりがいも感じられます。
今テレビ離れと言われている中で難しい 状況だとは思いますが、若手の我々が全国で一緒に手を取り合い、頑張っていけたらいいなと思います。
清山さん:ケーブルテレビ業界はケーブル以外のサービスが進む中で多様化や、地方においては人口減少など、本当に課題は多いと思います。一方で、ケーブルテレビがそれまで培ってきた顧客基盤、地域との近さというのは地上波民放やネット系サービス業者さんにはない強みかと思います。その2つの強みを活かした上で、テレビはあくまでも手段で、目的は地域の活性化、持続可能な地域を作るために何ができるのか、頭のひねりようがあります。地域の課題を解決したい、地元が大好きな人が楽しめる業界だと思いますので、そう考える方に来てもらいたいですし、そういう方と一緒に仕事をしたいと思っています。
まとめ
今回取材した中海テレビ放送さんでは、入社後、新人研修では基礎を学び、ミライノネでは体験、実践するというすみ分けになっているそうです。
人事の倉内さんが「人から教わったことは1割ぐらいしか入ってこない。自分で学んだことは2割ぐらい。残り7割は体験と言われており、まさに、教わったことを経験する、体験することはとても大事。」と仰っていました。ミライノネプロジェクトは若手社員の成長には欠かせない場となりつつあるのだな、また、ミライノネのメンバーが自社情報の出し方を考えたり、実際に就活生と触れ生の声を聞ける場を作るなど、若手社員が採用に関わることで学生側も事業者側も得られることがたくさんあるなと感じました。
就職活動中の皆さんも、自分がどんな未来を描きたいか、どんな環境で成長したいかを考えながら、企業や仕事選びをしてみてください。 やりたいことがまだ明確でなくても、入社後に見つけて、自分らしい挑戦を応援してくれる職場で未来への第一歩を踏み出してみませんか?